ここに昔の回答ではあるが、丁寧な情報が記載されているので、備忘録としても紹介しておく。
http://oshiete1.watch.impress.co.jp/qa1816152.html
独立した個人の経営コンサルタントです。コンサルティング業界のすごく小さな一端を担う者として回答いたします。(物凄く長いです。スイマセン。) まずコンサルティング業界というものを少し整理しなくてはなりません。 いわゆるコンサルファームと呼ばれるコンサルティング企業と言っても多数あり、その種類は多岐に渡ります。 おそらく、就職活動中の学生であれば、ボストン・マッキンゼー・べリングポイント・トーマツ・アクセンチュア・フューチャーなどが対象となっているかもしれません。 これらには範囲や分野により、総合系と専門系に分類され、その得意分野により戦略系・会計系・人事系・IT系などに分かれます。 総合系は専門分野を複数にまたがって対応できる大型ファームです。専門系は専門分野に特化しています。以下、整理してみます。 ■経営コンサルティング企業 ⇒企業経営に関わる課題・問題点などの解決などを中心にコンサルティングする企業体です。 以下の様な分類が出来るかもしれません。(企業によっては複数にまたがる場合あり) ■経営コンサルティングを担う企業には、個人事業主も含めて ・コンサルティングファーム(総合系/専門系) ・シンクタンク(金融系/公共系/情報系/会計系/独立系) ・リサーチ会社 ・独立コンサルタント(プロコン) ・企業内コンサルタント ・専門コンサルタント(会計・財務・法律・情報、等々) <税理士・会計士・弁護士・技術士などもコレに含まれる> ・コンサルティングネットワーク(総合系/専門系・専門連鎖系) などがあります。 また、コンサルティングを適用する段階として、 ・経営戦略などを中心にした経営者層向け(経営) ・事業戦略などを中心にした管理者層向け(管理) ・機能戦略などを中心にした業務者層向け(現場) のように、コンサルティングする相手を誰を中心にアプローチするか、でも異なります。 これは、上から順に非定型的意思決定のより多い相手ということであり、上位は意思決定支援という意味合いが強くなります。 下の方は定型的意思決定ですが、変わることにより現場改善や業務改善が進む、という改善推進の意味合いが強くなります。 ■コンサルティング業務について 上記に通り、総合系/専門系の違いや、コンサルティングの目的、適用段階などにより、その業務は大きく異なる為、一概に「こうだ!」と言えるものではありませんが、 簡単に言えば、まず(A)『町医者』となる入り口段階のコンサルタントがいます。(B)そこで問診・診察(=準備・調査)を行い、風邪などのよくある症例(イメージで言えば在庫過多による資金繰り圧迫など)であれば、その場で処置して対応します。 (C)もう少し見ないと判らない場合、検査(=調査)などにより問題を探し出し(=分析・診断)ます。(D)問題を解決する方法が町医者で処置できる場合はその場で処置(=助言・支援)します。 (E)その場で処置できた場合には一定期間を置いて再診察による経過観察を行い、予後のチェックとアフターケアを行います(=事後フォロー)。(F)処置できなかった場合には『専門医』のいる総合病院・大学病院へと送り出されます。 〔専門医には弁護士・弁理士・会計士・税理士・社労士などの士業や企業として専門分野の問題解決を請け負うコンサルファームなどがあります。〕 これは問題解決型と呼ばれるアプローチの場合ですが、大まかに考えて、通常の病気治療における医師等の医療機関と同じです。フォローする専門家である薬剤師・看護師や各種技師などがいるのも同じです。 尚、シンクタンクはその名の通り、基本的に頭脳的な部分を担うもので実行フォローまで行うことは少ないです(最近は銀行系を中心に行うところもあるようですが)。 リサーチ会社は「調査・分析」を中心に行うので、これも実行フォローを行うことまでは原則想定していません(会社によります)。 もう少し理論的に解説してみますと、コンサルティングには、大きく分けて (1)準備→(2)調査→(3)分析・解析→(4)診断→(5)調整→(6)勧告・助言・支援→(7)事後フォロー の段階に分かれています。【中小企業診断士業務遂行指針などより一部抜粋し、改訂】 この一部を請け負う企業もあれば、全部を一括して請け負ったり、段階的に請け負う企業もあります。 上記の通りですが、コンサルティング業務でよく言う経営分析・診断は(3)(4)の段階で行うものです。 (1)(2)はヒアリング・観察や市場調査などであり、(3)(4)の基盤となるデータ・情報を集める作業といっても差し支えないと思います。 そもそも経営分析にも様々なツールと適用できる段階があり、これらを基に(4)以降の具体的な提案を行います。 (5)は社内・社外を通じて利害関係者(=ステークホルダーと言います)との意見の交換・聴取・調整などを行う段階です。 その上で(6)において勧告・助言と言った「●●した方が良い」という旨の提案をしたり、その実行の支援を行います。 勧告・助言やその実行の支援がどのように推移・経過し、結果が現れるか、また、その結果を受けてフィードバックし、更なる対策を練るのが(7)の事後フォローです。 単純化すれば、これらはPDCAサイクルに似ているとも言えます。(PDCAはISO9000などの遂行サイクルとして紹介されることが最近は多くなりました) ここでコンサルティング業務が“経営を助けること”を目的であるとした場合でも、「経営者の意思決定を助ける」という意味であれば(6)の助言がポイントになりますし、業務改善等による「現場の改善を助ける」という意味であれば(6)支援→(7)事後フォローがポイントです。 また、基本的には(1)(2)でヒアリングや調査などで情報を仕入れ、それを基に(3)で分析→解析します。 その結果をまとめて、当該企業における問題点と、そこに横たわる経営課題を洗い出して“診断”します。 ここまではコンサルタントもしくはコンサルティング企業が自らの能力を駆使して、問題解決のために能力を活用する訳で、まさに『診断者段階』すが、(5)以降の段階ではコンサルティング対象の当該企業自身が自ら直接かかわらないことには何ら良くならないという意味で『当事者参加段階』とも言えます。 そういう意味では、依頼企業の経営を助ける、と言っても ・経営者の意思決定を助ける(助言する)。 ・現場の改善を推進する支援を行う。 の両者では根本的に意味合いが異なります。 どちらもコンサルティングですし、コンサルタントやコンサルティング企業の業務範囲ですが、どのコンサルティング企業でも両者を請け負ってくれるかどうか、は判りません。 専門分野をなるべく特定しているコンサルティング企業では、自らの専門外の場合は請け負わず、専門のコンサル企業を紹介したりすることもあります。 戦略系ファームが一番人気となりますが、何が得意なファームであるか、を見極めて入らないと入社後にこんなはずじゃなかった、と言うことになります。 特に、経営基本戦略(全社レベルなど)や事業戦略(競争戦略や成長戦略など)を得意とするのか、機能別戦略(組織・人事・生産・技術・研究開発・流通・マーケティング・財務・会計・法務・リスク・IT・情報など)を得意とするのか、では大きく異なります。 就職活動の際にはご注意下さい。 また、コンサルタントの多くは、MBAや中小企業診断士、経営士などの学位・資格や、別の専門資格(弁護士・会計士・税理士・一級建築士、等々)を持っていたりします。もしくは、それらのノウハウをファームの中で働きながら身に着けていくことになります。 (とは言うものの、TVで見る有名コンサルタントが必ずこれらを保持している、とは言いませんが。) コンサルティングプロセスは、MBAや中小企業診断士などで大きく異なることはありませんが、主に大企業を中心に考えるMBAに対して、中小企業対象の中小企業診断士では「経営者の意思決定を助ける」ことが主目的になることが多いです。 これは中小企業では実質的に“企業=経営者”であることが多いためです。 一方で、大企業ではあらゆる段階が含まれることになりますので、どの段階かのみで対応が完了することは少ないですが、分業体制の整う専門コンサルの出番であるとも言えます。 体系的にコンサルティング業務を知りたいのであれば、MBAなり中小企業診断士なりのテキスト類を読んでみることをオススメします。受験したり入学する必要まではありませんが、業界入りするなら勉強したりするだけの価値はあります。 ちなみにMBAは経営学修士で学位であり、大学毎に特徴があります。そういう意味で中身に違いがあります。 中小企業診断士は中小企業基本法と中小企業支援法を根拠法とする日本の国家資格であり、原則的に中身に違いはありません。(2000年の基本法改正の前後で資格制度が改変されているので、根本は同じでも微妙に異なる部分はあります。分野別制度の廃止がその一例です。) 中小企業診断士に関しては、(社)中小企業診断協会の公式サイト〔http://www.j-smeca.or.jp/〕に事例企業への診断や提案例のまとめや診断ツールの一例などが掲載されているのでご参考下さい。 参考URLは(社)中小企業診断協会の『経営診断マニュアル』の記載があるページへのリンクです。 尚、上記の言葉の中で判りにくいものとして、問題⇒解決するもの、課題⇒克服するもの、であり、目標⇒達成するもの、目的⇒実現するもの、の違いです。 問題とは顕在化している症状であり、解決しないと悪化などにより直接的に悪影響を及ぼすものです。 課題とは潜在的に存在するもので、顕在化している問題の“根源”となるもので、「症状の原因」である、とも言えます。克服しないと(問題)再発の恐れや別問題の発生、合併症発生の恐れがあり、間接的な悪影響を及ぼすもの、と言えます。 目標とは原則的に数値・数量的に表される(=定量化できる)もので示された“道標”の様なものであり、最終到達したい点への途中点として正しいことを理解させるためのものです。マイルストーンなどとも呼ばれます。 目的とは上記の目標のところで言う「最終到達したい点」のことであり、「ありたい姿」「なりたいもの」とでも言うものです。誤解を恐れず大雑把に言えば“経営者の夢・目指す会社像”とも言えます。(経営上では“理念”とごっちゃにされることもありますが、理念は会社が「社会に対して臨むスタンス」の様なもので意味合いが異なります。) 【例】 経営理念:「The Power Of Dreams」(夢の力、である、もしくは、になる[企業]) 経営目的:「世界一のバイクメーカーになる」(←本田宗一郎の有名な言葉です。現在は少し違うものの様ですが、判り易くするためにこうしました) 経営目標:「年間販売台数で4輪:350万台突破(⇒未達)、2輪:1000万台突破(⇒達成)」 経営課題:「新モデル投入の遅れ、ディーラー網の営業力低下」 経営問題:「4輪・2輪事業とも国内販売の低迷(マイナス成長)」 参考URL:http://www.j-smeca.or.jp/training/SU1101.html 投稿日時 - 2005-12-06 01:05:13