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Peanuts Blog[かぎや盛岡べん別館]

コロナ禍は厳しい…その時々の気づきを書き綴ります。55歳過ぎての、定年前のシルバー起業。 このままでは楽しくないと… 横浜市の支援と信用保証、銀行融資を活用して、必要な国家資格などを取得。生業としてこれからの働き方改革を自分自身に適用しました。

達人に聞く リーダーシップの心得3カ条(日経プラスワン)

備忘録とする。

 職場でプロジェクトチームのリーダーに任命された、PTAや町内会の会長になった、サークルの責任者になった――。組織のメンバーをとりまとめて引っ張っていくにはどうすればいいのか。リーダーシップの要諦を達人に聞いた。

 キヤノン電子社長の酒巻久さん(72)は社長就任時の1999年から13年間で経常利益を10倍に増やした手腕を持つ。リーダーはまず「自分は何を実現したいと思っているのか、夢や目標を明確に持たなくてはいけない」と話す。

 就任した時、「世界トップレベルの高収益企業になろう」と考え、そのために「開発のスピードや生産スペース、原材料を従来の半分に減らす」という目標を立てた。

 社内には「すべてを半分になんてできるわけがない」との声もあったが、2002年に達成した。夢を持ったら、それを具体的な目標にして組織のメンバーが納得するまで語り続ける。そうすれば「人は必ず動いてくれる」。

 自分は特に何もしたいことがないのに、受け売りの夢や目標を語って、ムードで人を動かそうとしてはいけない。「自分が本当に信じていて、それを受け入れてくれた人や組織、世の中が幸せになるような夢や目標を語ること」が重要だと酒巻さんは話す。

 さらに、リーダーには優しさと思いやりが必要だ。「リーダーが自分の利益のために言っていることを相手に押しつけたり、我を通したりしてはいけない。それでは夢や目標の実現は不可能だ。本当に相手のためを思って行動しよう」とアドバイスする。

 時には叱らなければならない局面も出てくる。だが理想のリーダーとは「ああしろ、こうしろ」と細かく指示するものではないという。

 「自分で考えさせるのが本当のリーダー。自分の間違いや、次は何をすべきかを自分で気がつくように仕向ける。叱るのはその手段の一つにすぎない」

 もし自分は我が強くて、こまやかな配慮ができそうにないという人は、メンバーとの間に入ってフォローしてくれる人を見つけるといい。「個々のメンバーの強みと弱みを把握し、自分が持っていない能力を持っている人を探す。その人に任せることも大切だ」と酒巻さんは考える。

組織づくりや人材育成をアドバイスする青山社中(東京都港区)の筆頭代表で、リーダー塾を主催している朝比奈一郎さん(39)は「どんな場面でも絶対に通用するリーダーシップの方法がある、と思わない方がいい。状況に応じて柔軟に考えることが一番重要な原則だ」と指摘する。

 組織は置かれている状況によってリーダーシップを発揮すべき場合と、マネジメントをすべき場合があるという。

 リーダーシップを発揮すべき状況とは、ゼロから組織をつくったり、何か問題があって根本的に立て直さないといけなかったりするとき。マネジメントをすべき状況とは、従来のやり方で組織が十分うまく回っているときだ。この2つの状況で対応は異なる。


リーダーシップを発揮すべき際に重要なポイントは3つある。(1)分かりやすいビジョンを示す(2)ビジョンを実現するために、多くの人の心をつかみ、共感を呼ぶ(3)日々起きる様々な課題について、決断する力を持つ――という3点。この点を踏まえ最後までやり抜くことが、リーダーの役割だ。

 これまでのやり方を変えようとすると、メンバーの反発を招く恐れもある。その際、賛同を得るためにはどうすればいいか。「このままではダメだという危機感がないと、人はなかなか新しいことをしたくない。危機感を醸成し、それに共感する人を増やすことが大切」と朝比奈さんはアドバイスする。

 一方、従来のやり方で組織が十分うまく回っているときは、リーダーは基本的に前例や慣習に従って、円滑に組織を運営していけばいい。規則を淡々と守り、メンバーとコミュニケーションを取っていくことが重要だ。

(ライター 上田 真緒)


[日経プラスワン2012年10月6日付]